夏が来れば~思い出す~~♪
これは童謡「夏の思い出」の一節でありますが
みなさまが思い出す夏の一場面ってなんですか?
やはりあれかしら……夏の恋かしら?
え~、しばしみなさまが甘いかしょっぱい夏の恋を
思い出されているあいだにですね、私の夏の思い出話を。
と言っても恋じゃないの、アリなの。
それまでの夏の恋(あったかな?)の話なんぞが
吹っ飛ぶぐらいのアリの(味の)思い出。
ペッペッ……口の中にいまも残るあの感触よ。
自由研究の悲劇!なぜ母と祖母はアリを食べたのか?
そう、あれはいまをさかのぼること14年前の夏の日、息子たちが小4の夏のこと。
息子たちが小学生になって母の夏は突然に忙しくなったのでした。
朝のラジオ体操の付き添いにはじまり、子供会の行事の付き添い、
おなじく秋に行われるお祭りのための太鼓や踊りの練習の付き添い、
そして宿題のお手伝い……でもって毎日のごはんづくり……
ちょっと息子たちのフォローをしておくとドリルやプリントなどの
「すれば終わる系」はお母さん一切ノータッチ。
(わからないところだけは見ていたけれど)
お手伝いとは工作の材料集めや絵日記のネタづくり、
そして自由研究……
あ~もうね、この自由研究に6年間どれほど悩まされたことか。
我が息子たちはこういう自分で考えて自由に取り組む系が苦手&苦手。
それでいて性格は生真面目だからきちんとしたい派。
いつまでも「う~ん」だの「は~」だの悩むばかりでちっともとりかからない。
いまのようにネットがあればちゃちゃっと検索して簡単な、それでいてそれなりに
やった感が出せるものを探せたのだろうけど当時我が家にネット環境もなく。
そんなある日、TV番組で「アリの巣観察キット」なるものを見かけたのです。
見た瞬間にこれだ!と思いました。
これが昆虫採集だと多数の虫を捕まえたうえに標本づくりも
しなくてはならないけれどアリならばさ、そこら中にいるものね!!
もうこの瞬間に私は「今年の自由研究、ラクだわね」と思いましたよ。
おバカさんである……ラクどころか大変な目に私と母(おばあちゃん)は遭うとも知らず。
アリの巣観察キットとは?
「アリの巣観察キット」とは土の代わりにゼリーが入っている容器に
アリを放して巣作りの様子や巣の形状を観察できるキットのことです。
↓このような感じの製品が一般的。
↓アリの巣の観察に特化した石膏製の飼育セットもありました(いいお値段……)
つまりアリさえ捕まえればあとは巣ができていく様子を観察してレポート(絵日記)書いて
ついでにアリの生態もちょっと書けばもう完璧な自由研究の完成……となるはず。
息子たちよ、ゴールは近いぞよ。
楽勝ムードのままとりあえず「アリの巣観察キット」を2個購入。
*双子なので自由研究もおなじことをしていました。
もちろん別々の自由研究をする双子さんもいるでしょうけれど。
たしかキットの説明書には容器内にアリを10匹ほど入れましょう、と
書いてあった記憶。
当然キットが2個なのでアリも20匹必要、と。
「まぁアリを捕まえるなんて簡単よ~」とこのときまで思っていたのです。
……ほんとうにおバカさんである。
アリだって捕まりたくはないよね、そりゃ
さていよいよアリを捕まえるときがきました。
ところでここで問題になるのがどうやってアリを捕まえるか、であります。
というのもアリは素手で捕まえてはいけない、と説明書にありました。
アリを素手で捕まえてはいけない理由はふたつ。
①アリが弱ってしまうから
②アリに噛まれてケガをするから
となると割りばしやピンセットか……
ところがここで大きな問題が。
我が家の庭にいるアリは小さすぎる=捕まえるのが非常に大変である、という事実。
↓庭にいるのはこのようなアリ(たぶんトビイロケアリ)
こんな小さなアリを割りばしやピンセットで捕まえるのは不可能です。
動きも早いし……100%つぶしちゃう。
そこで「アリの巣観察キット」を持った双子とその母は
母の実家へとアリを捕まえるために旅立ったのでした。
私の母は私以上に虫に強いタイプ、強力な助っ人であります。
↓ちなみに実家の庭にいるアリはご立派なアリ(たぶんクロオオアリ)
しかしながらアリのサイズが大きくなったからと言ってそう簡単に
捕まえられるはずもなく……いや、指でつまむのがいちばん確実なのだけど
それだとアリが弱っちゃうし、割りばしやピンセットで動いているアリを
つかむなんてよほど器用なひとじゃなきゃ無理だし。
じりじりと照りつける真夏の太陽、焦る母と祖母。
主役の息子たちはアリを見つけて指をさすだけの係……なにかがおかしい。
暑いし、蚊には刺され放題だし、イライラしてきたし、
そんな状況下で母が言いました。
ストローでアリを吸えばいいんじゃない?
おお!それは名案……なのか?
ついにアリを食べちゃった!
冷静に考えればストローでアリだけを吸い上げてストローの中ほどで
吸うのをストップ、捕獲成功………なんてどう考えても無謀であり無茶であります。
しかしこのとき私と母は「かわいい息子のため、孫のため」というよりは
一刻も早くアリを捕まえてこの苦行から逃れたい、それだけでした。
そのままだと土や砂を吸ってしまうのでアリを石のうえまで追い込んで、いざ!
!!!!!!
なんとなんと、あれほど苦労したのがウソのようにアリの捕獲に成功。
母もあっさりと捕獲に成功。
「この調子ならアリ10匹(それぞれのノルマ)なんてすぐじゃない?」などと言いつつ
捕まえていたのですが……
うわっ!
ゴホゴホ!!
ペッペッ!!!
なぜかおなじタイミングで……恐れていたことが母と私に……
勢いあまってアリを吸い込んじゃったよ~!
あんな小さなもの、当然吐き出せるはずもなくつまり食べちゃいました、アリ。
しかしここでアリの捕獲をやめるわけにもいかずその後もそれぞれ2~3匹は
食べながらもようやく……終了。
すぐに消毒とお疲れさまを兼ねて冷たいビールをごくごく飲みましたよ。
幸い母も私もアリを食べたあとにお腹が痛くなることもなく今日まで生きております。
自由研究のその後
母と祖母による壮絶なアリの捕獲のおかげで容器内にアリを10匹ずつ入れたものの
思っていたほどアリの巣はできませんでした。
(ちょっとはできたけれど図鑑で見るようないくつもの小部屋のあるアリの巣ではなく
よく言えばさっぱりとした巣ができました)
しかも新学期が始まって「アリの巣観察キット」を学校に持っていくころには
容器内のアリがすべてお亡くなりになり……アリの死骸とともに登校。
いまにして思う、亡くなったアリを取り出して巣だけ持っていけばよかったのでは?と。
今回この記事を書くにあたり調べましたところ
タカラトミーアーツさんがアンツルーム(アリの巣観察キット)について説明されていました。
↑そこには捕獲方法やアリの観察に際しての注意点がわかりやすくまとめられていて
「14年前に知りたかったわ」と半泣きで読みましたよ、いやほんとうに。
もし今年の自由研究で「アリの巣観察キット」を使ってアリの巣の観察をしようという
ちびっこの保護者のみなさまはよ~くお読みください。
自由研究から解放されて
息子たちが小学校を卒業するのと同時に自由研究から解放されました。
さすがに中学生になってからは自力でなんとかしていたらしい、
らしいというのはもうあまり覚えていないからです。
けれど息子たちと(そして母も巻き込んで)自由研究していたころが
なんだかたのしかったな~、とも思います。
そしてこれからお子さまの自由研究にやきもきされるかもしれないパパママさんへ、
どのような自由研究(自然観察部門)が向いているかを調べられる相性診断を
見つけましたのでよろしければご利用くださいませ。
自分でしてみたところ「化学」と相性がいいとの結果が?!
いや……化学、苦手だったのですが。
おしまいに
自由研究のおかげでいい夏の思い出ができました。
いまでもときどき母とアリを食べた話をしては笑っています。
もう二度と戻れないあの夏はたのしかったな~、と切なくなります。
これからお子さまの自由研究を手伝うことになるパパママさん、
どうぞおたのしみくださいね。
本日のお言葉
アリは食べものではありません