生協さんから今年の梅干し作りに使う梅が6kg届きました。
明日、梅干し作ります!
そしてみなさまごきげんようでございます。
6月はなにかと保存食作りにいそがしいのでありまして
ツイッターを見てもここ数日で「梅酒や梅干し作ったよ~」とツイートしている方、多数。
ちょっと前は「山椒の実を漬けました」って方も多かったし。
なんだかんだ1年中、みなさまなにかしら保存食の類を作られているご様子。
私はもっぱら漬物作りばかりだけれど
これはもう立派な趣味と呼んでいいのではなかろうか?
で、今回はその保存食にまつわるお話を。
保存食を作ることをまるっとまとめて仕込みものと言いますが
保存食と仕込みものは違うのか?とか、これから仕込みものをしてみたいけど
たいへんそうじゃない?とか、そのあたりをね、ゆる~っと。
(ただいまハワイアン&波の音をBGMに書いているのでいつも以上にまったり♪)
「仕込みもの」にハマる
記念すべき私の保存食デビューは2014年のらっきょう漬けから始まり、
梅干し、紅ショウガ、ユズ塩、ぬか漬け、白菜漬け、大根の皮漬け、
柴漬け、大葉の醤油漬け、ミョウガの味噌漬け、などなど
1年中なにかしら漬けています。
こうして書くと保存食=漬物ばかりと思われてしまうかな?
これはただ米どころの民である私が漬物好きというだけでして
保存食は漬物以外にもたくさんあります。
ところでどうして保存食作りにハマったかと言えばそれはもう
中高年婦人がかならずやかかる「ていねいな暮らし」に憧れて病、です。
「ていねいな暮らし」的な雑誌や本を読んでいるうちに
自分でもしたくなっちゃったのです、ていねいな暮らし。
ホホホ……絵に描いたような単純なひと……
結果的にていねいな暮らしをするにはていねいなことをいとわない性格でなければならず
つまり雑な自分には無理だな、と早い段階で白旗をあげたのですけれど。
(ていねいな暮らしとはスタイルというよりこころの持ち方よね、たぶん……)
保存食作りだけは食いしん坊だったおかげで続いています。
そして愛読書にして保存食作りのバイブルが辰巳芳子さんの「仕込みもの」(文化出版局)です。
辰巳芳子さんの本はただの料理書にあらず!なところが大好きです。
厳しいとさえ思える言葉で食を通して生きる姿勢や覚悟を次世代へと伝えてくれています。
たとえば、まえがきの中の一節。
ものは正直で、けっしてへつらいません。法則にかなった手のかけ方をすればよくなり、不足があれば、それなりの反応を示します。しかってもらえる機会の少なくなる大人にとって、これはよい薬です。
ここだけ取り上げるとわかりづらいかもしれませんが一度でも仕込みものを作った後で
読み返すとまぁ沁みます……ヒリヒリと。
お料理に興味のある方なら手元に1冊、生涯の書として置いておくのもよろしいかと存じます。
「仕込みもの」と「保存食」の違い
では「仕込みもの」と「保存食」にはどのような違いがあるのでしょうか?
まずは「仕込みもの」について。
もしかするとこの記事で初めて「仕込みもの」という言葉に
出会った方もいるかもしれませんね。
というのも国語辞書に「仕込み」や「仕込み杖」は記載されているのに
「仕込みもの」はないのです。*「仕込み杖」とは杖の中に刀が仕込まれている武器のこと
ですので辰巳さんの本をお借りして説明しますね。
ここでの心くばりとは
①ものへ対しておいしくなれ、と願う心
②仕込みものの向こうにいる食べさせたい相手への愛情、のふたつ。
もっと簡単に言えば「保存食を作る作業や心持ちのすべて=仕込みもの」となります。
次はおなじみの「保存食」について。
保存食は「先人の知恵の結晶」とも呼ばれています。
冷蔵技術のないころに食品を長期間保存するため塩漬けや乾燥させて生まれたのが保存食です。
そうした背景から言えば常温で保存できることが保存食の絶対条件ですが最近では要冷蔵の保存食(低塩分の漬物や加工品)もあり昔とは保存食のとらえられ方が変化してきています。
保存食には大きく分けて乾燥させる・漬ける・燻製にする・煮るなどの加工方法がありますが
近年では真空パックや瞬間冷凍といった技術の発達により保存食はますます多様化しています。
つまり「仕込みもの」とは「保存食を作ること(広義)」、
「保存食」とは「仕込みもの」で作られた食品そのもののこと、
であります……ややこしかったかな?
「保存食」の歴史
ところで「保存食」とはいつぐらいから作られていたと思いますか?
確認できる限りでいちばん古い保存食は縄文時代の古墳から出土した木の実です。
日々の食糧確保もままならなかったあの時代に日持ちした木の実は
どれほど貴重な食べ物だったことでしょう。
その後は乾燥させた保存食が登場、魚や海藻類、野菜類などの乾物は
いまも食卓に登場しています。
高温多湿な日本で食べ物を上手に乾燥させるにはさまざまな工夫が必要でした。
(材料の切り方や干す場所、期間など)
この工夫こそ「保存食」の真髄と呼べるかもしれませんね。
まだ冷蔵技術のない時代、先人たちは干したり漬けたりと工夫を凝らして旬の味や貴重な食料を
いつでも食べられる保存食へと生まれ変わらせていました。
その後、瓶詰や缶詰が生まれ、真空パックや瞬間冷凍(フリーズドライ)が生まれ……
保存食は日常生活での利用だけではなく災害や戦争の現場などで多くの人の命をつないでいます。
「仕込みもの」をしてみませんか?
さてここまで仕込みものやら保存食やらのお話をしてきましたが
お読みくださったみなさまも作ってみませんか?
実際に作ってみるとそこにはおままごと?理科の実験?的なおもしろさがありますのよ。
さぁさぁ……いかが?
「仕込みもの」の壁
いっしょにいかが?とお誘いしましたが「仕込みもの」を自分で、
となるとそれ相応に必要なものがあります。
個人的に思う「仕込みもの」に必要なものがこの3つ。
2,下調べ(知識)
3,お金
なにを作るかにもよりますが「仕込みもの」をするための時間の確保、これは必須。
当ブログでもぼやい……書いておりますが半日仕事になることも多いです。
しかも作り始めたら途中でやめるわけにもいきません……やめたくなったとしても。
ですので「今日はこれを仕込む!」となったらある程度まとまった時間を確保しましょう。
つぎに下調べ(知識)、これもきちんとしておいたほうがいいです。
これをしなかったばかりに私、梅干しづくりで2~3年迷走しました。
ある年は梅の追熟に失敗し別の年は土用干しの方法に迷い……
こういうあたりに雑な性格がでておりますね……しかし失敗は成功の母、気にしな~い!
最後に必要なのはお金。
まぁね、お金はいつだって必要だけれどもね、
保存食を作る場合はとくに最初の年にお金がかかります。
というのも材料費(これは毎年かかる)のほかに道具類をそろえなければならないからです。
もちろんご家庭にあるものを利用できればそれでいいので新品にこだわることもないのですが
それぞれに適した道具を選ばないと失敗してしまう可能性もあります。
たとえばまたまた梅干しのお話なのですが梅は酸が強いので金属製の道具は使えません。
またたくさん作った保存食を冷凍しておく場合には冷凍可なだけではなく
解凍(自然解凍かレンジ利用か)までを考えて保存容器を選ばないといけません。
なるべくお安くすませたいのは人情でありますが、
目的に合わせた道具選びもちらりと頭の片隅に置いておいてくださいませ。
「仕込みもの」の喜び
「仕込みもの」には時間もお金もかかるのになぜ自分で作るのか?と問われましたら
答えはひとつ……楽しいから、です。
その割には「腰が痛くなった」だの「飽きた」だの「手が臭くなった」だのと
ぼやいているような?と思った熱心な読者さまよ、その通りです。
その通りなのですけれど毎年これをしなければこの季節が終わらないという気持ち、
仕込み終えたときの達成感、できあがったものを「おいしい」とか「また作ってね」と
言ってくれる人の顔、なんぞがね、たまらなく楽しいしうれしいのです。
それに自然の材料だけで作る安心感や
回数を経るごとに自分好みの味ができあがっていく過程はクセになります。
失敗したからもうや~めた、ではなく
次はここをこうして作ってみよう、と試行錯誤することが楽しいのです。
あぁこの楽しさをみなさまにも味わっていただけたらなぁ。
ごく少量から「仕込みもの」作ってみませんか?
おしまいに
と、暑苦しいほどの「仕込みもの」愛を語りました。
あまりおおごとに考えずお時間がありましたらなにか仕込んでみてください。
そして明日はいよいよ8回目の梅干しづくりが待っているのです、私。
いざ出陣じゃ!
本日のお言葉
明日の自分へ……腰に気をつけて作業せよ!