みなさま、ごきげんようでございます。
今日はわたしの大好きな俳優・笠智衆さんの御命日です。
若いみなさまにはご存じない方もいると思いますが
笠智衆さんは「日本のお父さん」や「日本のおじいさん」と
呼ばれるほどの俳優さんでした。
昭和から平成にかけて世界的な映画監督である小津安二郎さんの作品や
映画「男はつらいよ」シリーズをはじめ数多くの映画やドラマにご出演
されました。
中でも個人的に好きな作品が1987年にNHKで放送されたドラマ「今朝の秋」。
山田太一さんが脚本を書かれている静謐で余韻の深いドラマです。
いまでもときどき再放送されていますのでもし機会がありましたら
ぜひご覧にください(病や老い、夫婦がテーマですので中高年向きかも)。
中高年向きと書いたけれど1987年当時わたしは18歳!たった18歳!!
その頃にはもう笠智衆さんが好きだったのだな……
たぶんわたしが画面の中の笠智衆さんを知った頃には
笠智衆さんは立派なおじいさんだったはず。
理想の男性というよりも理想の人間として好きになったのでした。
とつとつとしたお話の仕方やときどき顔全体をクシャクシャにして笑う顔や
なによりもたたずまいが美しい方でした。
姿かたちは持って生まれるものだし、
まぁそれはあとからいじっていくらでも変えられるけれど、
そういう美しさではなくて人としての在り様が美しいのです。
美しくもありやさしいのです。
内面からにじみ出てくるものは一朝一夕では作れませんものね。
取り繕ってもボロが出ちゃうというか……
実際のところ、画面越しに演者としての笠智衆さんしか知らないので
これらはあくまでもわたしが感じたことでしかないのですけれど。
ただお亡くなりになる直前に発行された本を読むと
わたしの感じたお人柄は間違いではないようです。
人間は誰でも年を取りますが年の取り方は人それぞれ。
なかなか笠智衆さんのようにあるがままを受け入れて枯れていく、
というのはたやすいようでいて、じつはとてもむずかしいことだと
老いていく家族や知人を見ていると思い知ります。
もちろん老いの入り口が見えてきたじぶんにも言えることですが。
笠智衆さんはこれからもわたしの憧れの人です。
あちらの世界に笠智衆さんが旅立たれて今日でちょうど30年目の日に……